M2Challenge

将来の月惑星ロボット探査について考えるコミュニティです.

Moon to Mars Challenge

こんにちは. Moon to Mars(M2) Challengeのブログです.

M2 Challengeでは, 宇宙科学を専攻する東京大学総合研究大学院大学の大学院生が中心となり, 超小型着陸ミッションの可能性を探る活動を展開しています.

着陸探査とは実際に計測器を天体に降ろして探査を行う方法で, 近年ではNASAInsightCuriosityのような探査機に代表されます. これらの探査機の活躍により重要な知見が人類に与えられてきました.

しかしながら, このような着陸探査には非常に大きなコストがかかるものです. 打ち上げコストを抑えた探査活動を行うためにはペイロード(ロケットで運ばれる荷物)を小型軽量化する必要が有ります.

超小型探査機には以下のメリットがあります

i)大型ペイロードに相乗りで宇宙へ行ける

ii)リスクが大きい地形へのアクセスが可能

i)に関して, ペイロードの大きさはミッションによってまちまちですがその一方でロケットは規格化されています. そのため打ち上げの余剰ペイロードの有効活用はこれまでよく考えられてきました. 過去にはやぶさ2の打ち上げの際には超小型副ペイロードが一緒に打ち上げられました. 近い将来に月や火星表面への着陸の機会が増加するにつれ, 着陸機の余剰ペイロードの有効活用を考える必要性は増してくるのではないでしょうか.

ii)に関しては, 科学的意義のある地形は往々にしてリスキーであります. 例えば惑星内部の物質がむき出しになっているとされるクレータの中央丘は科学的知見の宝庫ですが, 傾斜角度が大きいと, ランダ(着陸機)やローバ(移動型の測定器)にとって到達が難しくなります. ここでいう難しさとは技術的に不可能であるという意味合いよりも, 貴重なローバが転倒してしまうと重要なミッションの継続が困難になってしまうという意味合いが強く含まれます. 超小型探査機は主探査機の代わりに科学的知見の宝庫である高リスクな地形にアクセスすることにより, ミッションに貢献することが可能です.

一方で超小型探査機のデメリットとしては走破力が低いなどの問題があります. これはCuriosityのような大型ローバの構造を単純にスケールダウンすれば解決する話ではなく, 超小型探査機の実現のための技術開発を検討すること, 超小型探査機を活用した科学探査を検討すること. そこが私たちのチャレンジの着眼点です.

私たちのチャレンジが通常の研究と異なる点として, 活動の経過をブログで公開することにより外部との接触を図り, アウトリーチを試みる点です. これは従来の研究活動とは事変わる新たな試みです.

超小型宇宙機の, 非常に限られたリソースでどのような探査活動が行えるか, 何ができるのか, これには柔軟なアイディアが求めれらます. 数十年後の宇宙ミッションのために必要な事をオープンに議論できる場を作りたいという思いから, 私たちはこのようなブログを設置する事にしました.

本ブログは, 様々な角度から, 超小型着陸ミッションの可能性を世界の誰とでも簡単に議論できるハブのような存在になることを目指しています.